名門といわれる私立の女子中高一貫校に通う中学2年の一之瀬未季(志田未来)は、ファミレスでパートをしている母・一ノ瀬加奈子(田中美佐子)、住宅販売会社に勤務する父・一ノ瀬忠彦(生瀬勝久)、小学生の弟・一之瀬健太(小清水一輝)の4人家族。放送部に所属する未季のことは、その自由で活発な言動や行動から、校長・中谷栄三(小野寺昭)や教頭・猪原光江(長谷川稀世)も知っている。
学校を抜け出す事に成功した未季は大喜びで街中を走る。そして、未季が向かった先は、河原の土手。そこには、塾仲間で別の男子校に通う桐野智志(三浦春馬)がいた。
未季「よう、少年。サボったの?学校。」
智志「ううん。テスト中。」
未季「なぁんだ。」
智志「サボったのかよ?」
未季「いいえ。生まれて初めての校外学習です。」
智志「シラけそう・・お前のとこ厳しいんだろ?」
未季「ねぇ、さっき校内放送で話したよ、この前教えてもらった事。空が何で青いのかって話。」
智志「あぁ。」
未季「全然ウケなかったけどね。何見てるの?」
智志は遠くを見つめていた。
智志「助かれば良いなぁって思って。」
未季が智志の見つめる方向を見ると、橋の淵で今にも落ちそうな子犬がいた。
未季「あ・・ヤバ。落ちたら死んじゃうかも。」
智志「何であんなとこ行ったんだろう。」
未季「理由なんかどうでもいいじゃん。」
と言って、未季は子犬に向かって走っていった。そして、橋の上から、子犬に手を伸ばすが、届かなかった。すると、未季は、橋の欄干に出て、子犬に手を伸ばす。しかし、未季は足を滑らせ、橋から落ちそうになる。
その頃、住宅販売会社で働く忠彦の元に、加奈子から電話が入る。
加奈子「あ、ごめんね。未季が無断で学校から抜け出したらしいの。」
忠彦「おい、冗談だろ?」
加奈子「冗談でわざわざ電話しないわ。」
忠彦「じゃなくてさぁ、そんなことで電話してくるなんて、冗談じゃないよって言ってんだよ。」
加奈子「そんなことって、こんなこと初めてよ?何かあったらどうしようと思って・・。」
忠彦「あるわけないだろ?ちょっと、あのさぁ、マンガでも買いに行ってるんだって。今こっち何千万の契約が掛かってるんだから、勘弁してよ。」
と言って、忠彦は電話を切ってしまう。
加奈子「娘をお金に返られるんですか・・。」
と言って、加奈子は怒る。
智志は橋の上から未季を助けようと手を伸ばす。
智志「捕まって。」
未季「無理。話したら落ちる。」
智志「だから危ないって言ったじゃん。」
未季「文句言うなら助けなくていいよ。」
智志「そうはいかないだろ?」
と言って、智志は橋の柵を乗り越え、欄干に出た。
未季「もし、私が死んだら、お葬式に来てね。」
智志「黙ってろよ。」
と言って、智志は手を伸ばす。
未季「子犬を助けようとして死んだ、優しい少女って言ってね。」
智志「うるせぇ。」
すると、智志は未季の腕をつかんだ。
智志「揺らすなよ。」
未季「うん。」
その時、子犬が動き出し、驚いた智志は足を踏み外してしまう。そして、二人は川の中に落ちてしまう。しかし、川は足がつく程度の深さで、二人は助かった。二人はずぶ濡れになって助かった事を喜ぶ。
翌朝、未季は、朝食を食べながら、加奈子と健太に昨日のことを話した。
加奈子「で?その子犬はどうしたの?」
希美「マコおじちゃん家に預けてきた。おばちゃんも可愛いって言ってた。」
加奈子「言っておくけど、家では飼えないわよ?」
未季「どうしても?」
加奈子「当たり前じゃない。昼間誰もいないんだから。で、その一緒にいた子って誰?」
未季「塾の友達。1っこ上だけど。」
加奈子「ふ〜ん。女の子?」
未季「かな?」
健太「かなって何だよ?おかまかよ?」
未季「変な事言わないで。お母さん、健太口悪いよ?」
加奈子「学校サボって勝手なことして、何偉そうな事言ってるのよ。とにかく、先生に謝ること。成績が地面スレスレの低空飛行なんだから、今ちゃんとしておかないと。大学入るまでに降ろされちゃうわよ?」
未季「別にいい。あたし大学行かなくても。その方が、お母さんも諦めがついて良いじゃない。」
加奈子「ご心配ありがとうございます。でも、大学はちゃんと行って下さい。そうじゃないと良い会社に就職できませんから。」
未季「へぇ〜。じゃあ良い会社にいけなかったら、どうするの?」
加奈子「どうって・・。」
健太「良い人と結婚できないって。」
未季「なるほど・・。じゃあ、良い人と結婚できなかったら、良い子が生まれないと・・。」
健太「良い子が生まれなきゃ、良い孫も生まれない。」
未季「良い孫が生まれないと、良いひ孫も、良いひひ孫も・・。」
加奈子「いい加減にしなさいよ。人が甘い顔してたら。お母さんが言ってるのはねぇ、自分のするの事に・・。」
未季「責任を持ちなさい。」
加奈子「未季。」
その時、忠彦がやってきた。
忠彦「何だよ、朝っぱらから。」
未季「おはよう、お父さん。」
忠彦「朝っぱらから、うるさいよ。お父さんさぁ、飲みたくないお酒飲んで頭痛いんだから・・。お母さん、お水頂戴。」
加奈子「はい。」
未季「飲みたくなければ、飲まなければ良いのに・・。」
忠彦「そうはいかないよ。お父さんがねぇ、飲みたくないお酒を飲んでるからこそ、こうやって家族4人がね・・。」
その時、加奈子が水を持ってきた。
加奈子「はい。」
忠彦「将来何の心配もなく、安心して暮らしていけるんじゃないか。」
未季「くだらない。」
忠彦「は?」
未季「お父さんもお母さんも先の事ばっかり。明日死ぬかもしれないのに・・。」
加奈子「未季?」
忠彦「お母さん、未季口悪いよ?」
未季「行って来ます。」
と言って、未季は部屋を出て行く。健太も一緒に出て行った。
朝食が済み、忠彦と加奈子はリビングで話していた。
加奈子「大丈夫かしら?あの子。」
忠彦「ん?未季?」
加奈子「危なっかしいのよねぇ・・。こうと思ったら、周りが見えなくなるとこあるから・・。」
忠彦「お前に似てるんじゃないの?」
加奈子「あたしは、あんなに要領悪くありません。」
忠彦「まぁ、子供らしくていいじゃない。大人になったらさぁ・・。周りばっかり見なきゃいけないんだよ。あっちもこっちもそっちもにっちもさっちもどうにもブルドックか?」
その頃、智志は母親・桐野静香(室井滋)に挨拶をして、学校に行こうとしていた。高級マンションに静香と二人暮らしの智志は、成績も優秀で経済的に何の不自由もない。静香は、シングルマザーながら会社を興し、成功したことで、たびたびマスコミに登場する有名・女起業家であった。部屋を出て行く智志を静香が引きとめた。
静香「学校からさぁ、連絡があったわよ。模試の成績、まぁまぁだったそうじゃない?」
と言って、静香は財布から5万円を出す。
静香「ママね、あんたを甘やかしてお金をあげるんじゃないのよ?お金の使い方を若いうちからキチッと勉強してもらいたいから。あんただったら、これを有意義に使えるわよね?」
と言って、静香はお金を受け取ろうとしない智志に、強引に手に取らせる。
静香「智志、人間には2種類の人間しかいないのよ。お金をうまく使う利口者か、無駄に使うバカか。どっちが良いかは、言わなくても分かってるわよね?」
その時、秘書の山崎光陽(海東健)がやってきた。
山崎「おはようございます。」
静香「おはよう。」
山崎「社長、急いでもらって良いですか?」
静香「え?」
山崎「朝一でミサキのコンテがサシミをした模様で・・。」
静香「上等じゃない。息の根を止めてやろうじゃない。」
学校へ向かう途中、智志は静香からもらったお金を橋の上から捨てようとする。すると、バスの窓から未季が声を掛けた。未季は智志に手を振った。それを見て、智志はお金を捨てられなかった。
学校に着いた未季は職員室で遠藤に謝った。
未季「昨日はどうもすみませんでした。」
遠藤「なんだっけ?あ、早退の件ね。」
未季「あの、ちょっと叔父の家に・・。」
遠藤「言い訳はいいわ。あたしね、勉強はちゃんと教えるわ。校風に合わない行動を見つけた場合は、注意する。でも、学校の外まで責任は持てません。無事に高等科に進みたかったら、自分の行動は、自分でちゃんと管理してちょうだい。」
未季「はい。」
遠藤「でも、ちょうど良かった。一之瀬さんにお願いしようかしら。」
と言って、遠藤は席を立った。
遠藤「柳沢さん。」
遠藤が見つめる先には、柳沢真由那(谷村美月)がいた。
未季は真由那と教室に向かいながら話していた。
未季「大変だったね、病気で1年も休学って。でも大丈夫、すぐ追いつけるよ。って白々しい・・。あたし、欠席ゼロなのに、ついていけてないんだ。」
しかし、真由那は何も話さなかった。
教室に戻り、遠藤が真由那をクラスメイトに紹介する。その時、未季の後ろの席に座る久保田恵(北乃きい)が話しかけてきた。
恵「ねぇ、聞いた?」
未季「何を?」
恵「大学生と付き合って、妊娠したんだって。そんで休学してたんだって。」
未季「まさか・・何で知ってるの?」
恵「そんなの皆知ってるよ。」
未季「うっそ?」
恵「すっごい噂だもん。」
未季「噂でしょ?」
真由那の席は未季の隣になった。真由那が席につくと、未季が話しかけた。
未季「授業がどこまで進んでるか、あとで書いておくね。」
真由那「私、あんたみたいな奴が一番嫌い。」
未季「え?」
真由那「頑張れば、何でも出来ると思ってるでしょ?一生ガキなんだよね。そういう奴は。」
その頃、加奈子は、ファミレスでパートをしていた。すると、毎回、おかわり無料のコーヒーだけを頼み、何杯も飲む客・波多野卓(北村一輝)がやってきた。
学校から帰ってきた未季は、テーブルの上に加奈子からの書置きを見つける。『お帰り、今日は遅番です。おやつを食べたら、すぐに塾に行きなさい。遅れないようにね』それを見て、未季はソファーに横になった。
未季は、近所でエレキギターショップを経営する加奈子の弟夫婦・三井マコト(河本準一)、ひな子(金子さやか)の元を訪れていた。
マコト「俺は嫌だよ。」
未季「どうして?」
マコト「だって犬嫌いだもん。」
未季「え〜、頼むよ、叔父ちゃん。」
マコト「駄目。昨日は特別に預かってあげただけなの。」
未季「じゃあ、どうすればいいの?」
マコト「どうすればいいって・・。飼い主のいない犬は、普通保健所行きだろ?」
未季「せっかく助けたのにね・・。」
マコト「なぁ、未季。だから無責任に生き物を助けちゃ駄目なの。分かった?」
ひな子「意地悪はやめたら?」
未季「おばちゃん・・。」
ひな子「いいわよ、飼っても。血統証が無いのが気に入った。」
未季「ホント?」
マコト「駄目なんだって、甘やかしたら。俺が姉ちゃんに怒られるんだぞ?」
ひな子「その歳で、まだお姉さんが怖いの?」
マコト「いや、怖くないけど・・。」
その時、智志が店にやってきた。
マコト「何だよ、お前かよ?言っておくけど、ここは溜まり場じゃないんだぞ?」
未季「飼ってくれるって。」
智志「へぇ。」
未季「名前決めよう?何が良いかな?」
マコト「名前はジミだよ。」
未季「ジミー?何それ?」
マコト「未季、伸ばさないでくれる?ジミ、ジミーじゃないの。あの天才ギターリスト、ジミ・ヘンドリクスのジミ。ありがたく思えよ?」
ひな子「飼う気になってたんじゃない?素直じゃないんだから。」
と言って、ひな子は、未季と笑う。
その後、未季と智志は塾に向かっていた。
未季「今朝大丈夫だった?」
智志「え?」
未季「桜橋のところで、すごい暗い顔してたから。」
智志「あ・・別に。」
未季「そう。じゃあいいや。あ〜ぁ、今日も塾かぁ・・。でも、塾に行かなかったら、桐ちゃんの事、知らなかったんだよね。」
智志「5万円あったら、どうする?」
未季「5万円?」
智志「何する?」
未季「ん・・。どっか遠くへ行く。行けるとこまで。」
二人は、ゲームセンターにやってきた。智志は、静香からもらった5万円を躊躇なく使おうとするが、未季は心配する。智志は「親が気まぐれでくれたから。」と言い、お金をメダルに換えてしまう。すると、そんな二人の様子を見ていた不良たちに二人は絡まれてしまう。智志は未季の手を取り、逃げるが、不良たちは、未季たちを追いかける。追い詰められた二人は、夜の公園に逃げ込む。二人は不良たちに捕まり、智志はボコボコにされてしまう。未季が泣き叫ぶと、公園にいた人達がやってきて、未季と智志は何とか逃げ、助かる。
未季と智志は、公園の中にある廃墟に逃げ込んだ。未季は、ハンカチを水で濡らして、智志の傷口を冷やす。
未季「痛い?」
智志「ううん。」
未季「良かった。マジで死んじゃうのかと思った。」
智志「俺も。でも、それも良いかなって。」
未季「何それ?駄目だよ、そんなこと思っちゃ。」
智志「別に。自殺したいってわけじゃない・・。」
未季「同じだよ?死んでも良いって最低だよ?そんなこと思ってたら、ホントに死んじゃうよ?」
と未季は真剣な顔で話す。すると、智志が笑った。
未季「何?」
智志「今、スゲー顔した。」
すると、未季は照れた。
未季「もっと凄い顔出来るよ。ほら。」
と言って、未季は変な顔をする。すると、智志は笑った。
未季「笑った。」
智志「え?」
未季「桐ちゃんが笑うと嬉しくなる。」
智志「ホント言うと、ちょっと楽しかった。あんなに全力疾走するのも、めちゃくちゃ暴れたのも初めてだから。」
未季「結構スリルあったよね?」
智志「うん。」
その時、ふと二人の手が触れ合った。
智志「あ、ごめん。」
未季「ううん。あっ。」
と言って、未季は寝転んだ。
智志「何?」
未季「桐ちゃんも、こうしてみて?ほら、早く。」
智志も寝転んだ。すると、天窓から満月が見えた。
智志「あ。」
未季「綺麗だね。」
智志「うん。」
未季「あんなに明るいのに、ずっと夜なのかな?」
智志「ずっと夜なんじゃなくて、朝だけど真っ暗なんだよ。」
未季「何か・・寂しいね・・。」
智志「ずっと暗かったら、それが当たり前だから、何とも無いんじゃないかな?」
と言って、智志は起き上がった。すると、未季も起き上がる。
未季「ねぇ、ヨシヨシしてもいい?」
智志「え?」
未季「何だか分からないけど。桐ちゃんの頭、ヨシヨシしたくなった。」
と言って、未季は、智志の頭をなでた。
未季「今度は、私が守ってあげるね。」
その時、智志が未季を抱きしめた。驚いた未季は智志から離れた。
智志「ごめん・・。ごめん。」
すると、未季は智志を見つめ、近づいてきて手を握った。
未季「何で?何で、こうしたくなるの?」
智志「わかんねぇよ。」
未季「これ、いけない事なのかな?」
智志「わかんないよ。」
未季「いけないことなのかな?」
智志「わかんねぇよ。」
と言って、智志は未季を抱きしめた。すると、未季も智志の背中に手を回し、二人は強く抱きしめあった。
22時を回り、未季が帰ってこないことを心配した加奈子は電話をしようとする。その時、未季が帰ってきた。
加奈子「どうしたの?」
未季「ただいま。」
加奈子「遅かったのね。塾延長だったの?」
未季「うん。」
加奈子「もうこれから遅くなる時はちゃんと言いなさいよ?迎えに行くから。」
未季「いらないよ、迎えなんて。」
と言って、未季は自分の部屋に戻ろうとするが、立ち止まった。
未季「ありがとう。大丈夫だから、あたし。」
部屋に戻った未季は、バックから智志と撮ったプリクラを取り出し、手帳に張った。そして、手帳を胸に抱いた。
2ヵ月後。朝、加奈子に起こされた未季は、頭痛を感じた。そして、カレンダーを見つめた。
そして、いつものように、加奈子は健太と未季を外で見送った。
加奈子「行ってらっしゃい。」
未季「やだ、大きな声で呼ばないで。もう明日から見送らなくていいから。」
と行って、未季は学校に向かった。
体育の授業中、頭痛を訴えた未季は、教室で自習をすることに。教室には、真由那がいた。
未季「私も、体育休み・・。」
と言って、未季は席についた。そして、保健体育の教科書を広げた。すると『妊娠』という文字に目が止まり、読み始める。
真由那「ねぇ、あんたもあの噂信じてるの?私が大学生と付き合って妊娠したってやつ。」
未季「え?」
真由那「清純な顔してるけど、あんた達だって、やれば出来るんだよ?」
すると、未季は手帳を持って、教室を飛び出した。
未季はトイレに閉じこもり、手帳を見た。そして、不良に絡まれた日の事を思い出し、「まさか・・。」と呟く。
その日の夜。一之瀬家の夕食はチラシ寿司だった。加奈子、忠彦、健太が食卓につくが、未季は、自分の部屋で、パソコンで『妊娠』についての項目を検索していた。すると、忠彦が未季を呼びに部屋に入ってきた。
忠彦「お父さんです。入るよ?電気つけるよ。未季、一緒にご飯食べよう?
未季「ちょっと風邪気味・・。」
忠彦「風邪?熱あるのか?」
と言って、忠彦が未季のオデコを触ろうとするが、未季は逃げた。
忠彦「何?未季は忘れちゃったのかな?お父さんねぇ、お前が赤ん坊の頃、風邪をひいたら、鼻水吸ってやったんだぞ?忘れちゃったか?」
未季「覚えてるわけないし。」
忠彦「覚えてないか・・。そうだな。未季はねぇ、可愛い赤ん坊だったなぁ・・。お父さんやお母さんはもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんみんなに望まれて生まれてきたからな。」
未季「みんなに望まれて?」
忠彦「うん。未季、実はねぇ、お父さん、次長になったんだよ?」
未季「え?」
忠彦「まぁ、部長の補佐っていうかね、若い奴らまとめる役割っていうか・・次に部長になる人?大したことないんだよ。全然大したことないんだけど、お母さんが喜んじゃって、ごちそう作っちゃったから、一緒に食べてあげよう?」
未季「出てって。」
忠彦「一緒に食べようよ?」
未季「大したことじゃないんなら、あたしがいなくたっていいじゃん。」
と言って、未季は忠彦の手をつかみ、外に追い出す。そして、未季はベットに入った。すると、加奈子がやってきて、ドアの前で未季に呼びかけた。
加奈子「未季?どうしたの?お父さんのお祝いしてあげようよ?ホントは未季に一番おめでとうって言って欲しいのよ?もう知らないから。ご飯全部食べちゃうからね?未季?あのさぁ、何か、困った事があったら、いつでも言いなさいよ?未季はバカにしてるかもしれないけど、これでもお母さん、めちゃめちゃ頼りになるんだから。いいわね?」
と言って、加奈子はドアの前から去っていった。未季は起き上がり、お腹を押さえた。
翌朝、智志は静香と朝食をとっていた。しかし、智志は食べなかった。
静香「沢山食べなさい?お肉は力つくわよ?」
智志「うん。」
と言って、智志は食べ始めた。
静香「ママねぇ、あんたがお腹の中にいる時、お肉いっぱい食べたのよ。最低最悪の貧乏だったけど、あんただけは丈夫に生まれてきて欲しかったからね。」
その時、智志の携帯がなった。未季からだった。
静香「誰?」
智志「友達。」
静香「電源切りなさい。食事中よ。」
すると、智志は携帯の電源を切った。
静香「智志、くだらない女に捕まっちゃ駄目よ?」
智志「何言ってるの?急に。」
静香「ママね、一度言っておこうと思ってたんだけど。あんたももう15なんだからさぁ、こっから先、色んな事あるとは思うわよ?だけど、一時の感情に流れて損しなさんな。あんただって、パパのこと見返したいでしょ?だったら、勝たなきゃ駄目なのよ。勉強にも仕事にも、自分自身にも。ね?」
未季は神社の前で智志を待っていた。智志が家から出てくると、未季は声を掛けた。
未季「ちょっと早起きしたから待ってたの。」
智志「うん。」
未季「駅まで一緒に行こう?」
智志「ごめん・・。」
未季「駄目?」
智志「いや、違うけど・・。」
未季「何か、あれからよく謝るよね?」
智志「ごめん・・。」
そして、二人は学校に向かった。
未季「あの・・。」
智志「え?」
未季「子供って好き?」
智志「何?」
未季「あの、子供よ。赤ちゃんとか好き?」
智志「いや、うるさいし、何で?」
未季「何となく・・。じゃあさぁ、何歳くらいで結婚したいと思ってる?」
智志「心理テストか何か?」
未季「違う・・。あたしが個人的に聞きたいの。いや、変な意味じゃなくて、男子は何て思ってるのかなって。」
智志「結婚はしたくない。」
未季「一生?」
智志「親を見てると、そう思うから。」
未季「そっか・・。」
智志「うん。」
すると、未季は暗い顔をした。
智志と別れ、一人で学校に向かう未季は、薬屋の前で足を止めた。そして、薬屋に入り、妊娠検査薬の前に立ち、手に取った。値段は1890円、未季は財布の中身を見るが、持ち合わせが無かった。未季は周りを見渡しながら、妊娠検査薬を制服の中に入れ、走って薬屋を飛び出した。
家に帰ってきた未季は、トイレに閉じこもり、妊娠検査薬を使った。結果は『陽性、妊娠反応あり』だった。
その頃、加奈子はファミレスでパートをしていた。そして、加奈子は波多野の会計レジをしていた。
加奈子「336円いただきます。」
波多野「今日は元気無いっすね?」
加奈子「そうですか?」
波多野「毎日見てるから分かりますよ。あ、あのストーカーじゃないですよ?ここは僕の唯一の息抜きの場なんですよ。」
加奈子「私たちだって悩みくらいありますから。」
波多野「ちなみにどんな?」
加奈子「人に言えないから悩みなんです。」
波多野「そりゃ言うはずないですよね。こんなコーヒー1杯で何時間も粘る男ですから。お恥ずかしい。」
と言って、波多野は1万円を出した。
加奈子「1万円いただきます。やっぱり、子供のことですね。」
波多野「え?」
加奈子「上が中学生の女の子なんですけど、何考えてるのかサッパリ分かんなくて・・。悩みは尽きません。」
そして、加奈子は波多野におつりを渡した。その時、未季が店の外から加奈子を見つめていた。波多野が店を出てくると、未季は店から逃げていった。
未季はマコトの店にやってきた。
マコト「何だよ?ご無沙汰じゃねぇかよ?たまにはジミの散歩来いよ。」
未季「ごめん・・。」
ひな子「自分だって、散歩行かないくせに。」
マコト「僕は犬が嫌いなんです。」
ひな子「なんつって、結構可愛くなってきたのよ?」
すると、未季は店に中で繋がれているジミを見つめ、涙を流した。
未季「大きくなったね・・。」
マコト「どうした?未季。」
ひな子「未季ちゃん?」
「怖かった。自分の体が自分の体じゃないみたいで。誰にも言えなくて、初めて、私はたった一人なんだって思った。お母さん、助けて。助けて、お母さん。」