屋上で霧島は伊集院(小池徹平)と話す。
霧島「僕が教授になったら、新しいバチスタチームを作ろうと考えている。そこに若い局員をドンドン登用したい。君はその若さで2度もバチスタを経験している。是非、僕が考えてるバチスタチームのエースに将来的になってもらいたい。」
伊集院「はい。」
霧島「期待してるよ。」
伊集院「失礼します。」
と言い、伊集院は霧島に頭を下げ、その場を後にした。
医局では、その日の当直として、木原と伊集院が残っていた。そこへ電話が鳴った。バチスタ患者のタカシの容態が急変したのだ。木原と伊集院は急いでタカシの元に行った。
病室に着いた木原は、タカシの容態を見て、心房細動を起こしていると言う。伊集院に除細動器を持ってこさせる。そして、木原達はタカシに電気ショックを与えるが、治らない。木原が諦めて、看護婦に家族を呼びに行かせるが、伊集院は自分に任せて欲しいの木原に言い、除細動器の電極パッチを与える位置をずらし、背中にして、電気ショックを与えたところ、タカシは治った。
休憩室で伊集院が休んでいると、看護士が伊集院にコーヒーを持って、「よく勉強しているわね。伊集院先生」と言われる。
タカシの病室では、タカシの両親が来ていた。そこへ、朝田(坂口憲二)がやってきた。母親は朝田にタカシの手術をしつこく要求する。朝田は困って黙ってしまう。
野口の部屋に加藤(稲森いずみ)が呼び出された。部屋には霧島もいた。
野口「転院だ。即刻転院。何をやってるの加藤ちゃん。何でそんな危険な状態でうちに置いておくのよ。このまま、うちの病院で死なれたらどうするの?えー?教授会も近いのに、冗談じゃないよ全く。」
加藤「分かりました。」
野口「敬愛小児センターには話をつけた。状態が安定し次第、すぐ転院だ。分かったね?」
加藤「はい。」
野口「霧島君。この後空いてる?」
霧島「はい。」
野口「ちょっとご飯でも食べよう。今後の事も話しておきたい。」
霧島「わかりました。」
加藤は横目で霧島を見る。
加藤がエレベータに乗ろうとすると、野口と霧島もエレベータに乗ろうとする。エレベータのドアが開くと、伊集院が乗っていた。伊集院がエレベータから降りようとすると、霧島が乗っているようにいう。伊集院はエレベータに乗り込む。そして、伊集院はエレベータに乗る。加藤はエレベータには乗らなかった。
エレベータでは野口が伊集院に話しかけていた。
野口「伊集院君、だよね?」
伊集院「はい。」
野口「あの赤ん坊を救ってくれたらしいじゃない。霧島君から君の話は聞いている。よくやってくれた。」
伊集院「いえ。」
野口「これからも頼むよ。」
伊集院は頭を下げ、
伊集院「ありがとうございます。」
タカシの病室。藤吉と看護士が診察しているところへ、朝田がやってきた。
看護士「こんなに小さいのに拡張型心筋症なんて可哀相ですね。」
藤吉「俺が昔勤めていた病院にも拡張型心筋症の子供が何人かいたなぁ。そのコらの親の中で最悪なのが、子供を入院だけさせて、面会すら来なかった親だ。死を待つだけの我が子を直視できない。弱い親だったんだな。病院を色々回って、疲れ果てて、気力を無くして、もう楽になりたい、自分が傷つくものは目に入れたくない、そういう風に思ったんだろ。」
看護士「タカシ君のご両親、毎日観えてます。ご立派ですね。」
藤吉「何とかして、助けたいけど・・・。」
と言い、藤吉は拳を握り締めた。
加藤はタカシの転院の手続きを始める。里原(水川あさみ)はタカシのカルテをみて、ため息をつく。荒瀬(安部サダヲ)は部屋で寝転びながら、何かを考えている。
朝田と伊集院は廊下ですれ違ったが、あいさつしなかった。
朝田と藤吉はタカシの病室で診察をしていた。
朝田「相当悪くなってきてるな。」
藤吉「あぁ、今のままでは、カテーテル検査も出来ない。」
朝田「ご両親には、俺から話す。」
と言い、藤吉と見詰め合ってから、タカシを見る。
屋上では加藤と朝田がタカシの両親と話している。
母親「どういうことですか?」
朝田と加藤は頭を下げて、
朝田「申し訳ありません。」
加藤「教授の許可が無い限り、絶対オペは出来ない。医局の方針なんです。」
母親は泣き始める。
母親「1%でも、可能性があれば、手術してって言ったじゃない。それを・・・、転院って何?放り出すの?散々希望もたすようなこといっておいて、今更放り出すの?」
母親は立ち上がり興奮しながら言う。朝田と加藤は頭を下げたままだ。
母親「北日本と一緒じゃない。本物の医者を信じろって言ったのはあなた方よ。あれ、嘘だったの?」
加藤「あの、転院の日はまたおって・・・。」
母親が持っていた飲み物を朝田に投げつける。
母親「何が本物よ。あんた等こそ、最低の医者じゃない。」
と言い、母親は走って行ってしまう。父親もそれを追いかける。
朝田と加藤が屋上にいると、里原がやってくる。
里原「兄は、霧島は笑っているんでしょうね。」
そこへ、鬼頭がやってくる。
鬼頭「オペはしないのね?賢明ね。母親の想いは分かるけど、教授会はまだ、どっちに転ぶか分からないわ。」
加藤「先生、そういえば、この間言っていた霧島の母親の話って?」
里原「霧島の母親?中学の時離婚して、出て行ったって聞いてましたけど、それが、どうかしたんですか?」
鬼頭「彼の父、霧島たけおは、元は私の大学の極めて優秀な心臓外科の教授だった。次期総長って言われていたけど、あるスキャンダルがあって、大学辞めた。」
加藤「スキャンダル?」
鬼頭「大学の理事長の娘、随分年下のお嬢さんとお見合い結婚したんだけど、おそらく、霧島教授の人間性に耐えらんなかったんだと思う。」
里原「えっ?」
鬼頭「霧島の母親は離婚じゃなく、自殺したの。」
一同驚く。
鬼頭「幼い霧島を残して。子供の霧島の目の前で、飛び降り自殺したらしいわ。」
その頃、霧島は自分の部屋で母親が屋上から飛び降りる所を思い出していた。
鬼頭の話はまだ続いていた。
鬼頭「教授は医者にすべく、一人息子の霧島を徹底的にスパルタで鍛えた。彼にとって、唯一心のより所は、おそらく、母親だった。その母親が、目の前で自分から去っていった。最も残酷なかたちで。ここからは私の推察だけど、あの異常な執着心とその裏の攻撃性はそこから来てるんじゃない?」
里原「だからって、今やっていることが許される訳ありません。あの男は最低です。私は、絶対許さない。」
その頃、霧島は部屋で一人で母親のことを思い出し、泣いていた。そこへ木原がやってきた。霧島と木原はお互いよろしくと言って、握手をする。
野口の部屋に霧島がやってきた。
野口「なるほど、そういうことか。」
霧島「勝ち目の無い喧嘩は、野口教授にはさせれまでんから。」
野口「頼もしいね。霧島ちゃんは。」
タカシの病室で藤吉が疲れて、眠っていると、朝田がやってきた。
朝田「当直、お疲れ。」
その言葉に、藤吉は目を覚ます。
藤吉「大分落ち着いてきた。よく眠ってるよ。もう半年もすれば、この子も喋りだすんだろうな。パパーとか。我が子の初めてのお喋り、ご両親にも聞かせてあげたいな。」
朝田「敬愛小児センターへの転院、明日の11時に決まった。」
藤吉は振り返り、朝田を見る。
朝田「教授会の当日だ。」
藤吉「そうかぁ。」
霧島の部屋に伊集院がいた。
霧島「今度、心筋保護液の研究で10日ほどハーバードへ行く。君もついてきなさい。」
伊集院「はい。」
霧島「それから、明日の夜、空けておいて欲しい。教授会が終わったら、野口教授が君と会食したいそうだ。」
伊集院「はい。」
朝田がタカシの病室にいると、加藤が入ってきた。
加藤「いよいよ、明日ね。」
朝田「あぁ。」
と言い、二人はタカシを見つめる。
臨時教授会当日。野口の部屋に霧島がやってきた。
野口「いよいよだね。」
霧島「えぇ。例の赤ん坊も今日転院するとか。」
野口「そう。全てが、スッキリするよ。今日は、君と僕にとって、運命の一日になる。」
タカシの病室では朝田と藤吉が診察している。タカシは状態が安定しているという。そこへ、両親がやってきた。母親はやつれた様子で父親が肩をつかんでいた。
藤吉「状態は安定しています。これから、敬愛小児センターに運びます。」
母親「敬愛小児センターに捨てにいくんですね。タカシを。」
そして、教授会が始まろうとしていた時、タカシの部屋に担架が来て、タカシを運び始める。
そして、教授会が始まった。
その頃、霧島の部屋に伊集院がやってきた。
教授会では、野口の反対派の教授が鬼頭の改革案の賛成を表明した。そして、これから投票をしようとしていた時、野口が手をあげた。
その頃、霧島の部屋では伊集院と霧島が話していた。
霧島「話って?」
伊集院「教授選のことです。この前、言っていた教授選に負けても、結局は野口先生が勝つ事になってるって。その話、僕にも聞かせてもらいませんか?」
霧島は考えて黙り込む。
教授選では野口が意見を言っている。
野口「今の医局を改革せねばならない。この情熱に、駆られるまま、わが身を省みず、かような改革案を出しました。それに対し、鬼頭先生が、新改革案を出された。医局員全員に教授選の投票権を与える。私の案よりはるかにドラスティックです。進んでいる。さすが若さだ。私は、医局の改革の為には、この身を灰にする覚悟。その私が、なんでこの新改革案に反対できるでしょうか?大賛成です。」
一同驚く。
野口「私は自分の改革案を取り消し、鬼頭先生の新改革案を全面的に支持させていただくことを表明いたします。」
その頃、霧島の部屋で伊集院はさっき霧島に質問したことの答えを聞かされていた。
伊集院「そんなぁ。」
霧島「鬼頭先生が勝てば、医局員全員に教授選の投票権が与えられる。そうなってもいい様に・・。」
伊集院「医局の要所を占める人間に、ポストをちらつかせ・・。」
霧島「末端の医局員をまとめるように促す。」
そして、霧島は伊集院に医局員の名簿を見せる。
霧島「それに加えて、この教授会であえて野口教授が、自分の改革案を捨て、鬼頭教授に賛成する。その行動で、野口教授の印象はグっと良くなる。」
教授会では、鬼頭に拍手が浴びせられる。
霧島の部屋では、霧島の話が続いていた。
霧島「改革派のシンボルもまた野口教授となる。医局員が僕に投票する。」
伊集院「さすが、霧島先生。」
霧島「もうそろそろ、決着は付いてるな。」
そして、時刻は11時になった。霧島の部屋では霧島の話が続いていた。
霧島「伊集院君。今日の夜は盛大に・・・。」
と言って、伊集院の方を向くと伊集院はめがねを取った。
伊集院「そろそろ、コンタクトつけないと、サージカルルーペ付けるんで。」
霧島「サージカルルーペ?」
朝田と藤吉はタカシを乗せた担架を病院の外に運ぼうとしていた。その時、朝田と藤吉はタカシの両親達にタカシの容態が急変した言った。
藤吉「容態が急変しました。」
母親「容態が急変したって何が?」
藤吉「安定してますが、急変したんです。医局内のオペには教授の許可が絶対に必要。しかし、今は教授会の真っ最中です。」
藤吉は朝田の方を見る。
藤吉「やむ終えない。教授の許可がないまま・・。」
朝田「これより、緊急オペを行います。」
両親は唖然とする。そして、タカシの担架が運ばれていく。朝田は両親に向かって
朝田「我々は、この日の為に、色々準備をしてきました。」
父親「ど、ど、どういうこと?」
朝田「このコの命は俺達が守ります。」
そして、両親達は泣きそうになりながら、ありがとうございますと朝田に頭を下げる。
朝田達はすぐにオペの手配をする。そして、バチスタチームに連絡を取る。
霧島の部屋では、伊集院が霧島に話していた。
霧島「バチスタで緊急オペ?」
伊集院「はい。急変したんです。」
そして、伊集院は時計を見る。
伊集院「11時になったから。」
霧島「教授会の時間を狙ってか?伊集院そういう事・・。」
伊集院「おかげさまで、バチスタチームが解散だと思われていたので、たっぷりトレーニングできました。」
朝田達バチスタチームが小児用のバチスタのトレーニングをしていた光景を伊集院は思い浮かべた。
伊集院「霧島先生、一言言わせてください。先生は、僕を仲間に引き入れようと、色々言ってくれました。だけど、僕なんか、先生の足元にも及ばないのは分かっています。多分、この先、どれだけ頑張っても、先生には絶対勝てません。だけど、一つだけ、先生には負けないものがある。僕には、仲間がいる。」
そして、伊集院は加藤たちと慰労会で手を重ねた光景を思い浮かべた。
伊集院「僕には心から頼れる仲間がいる。それだけは、先生より優れている。それは、胸を張って言えます。騙してすいませんでした。でも、患者を救うには、こうするしかなかった。」
そして、伊集院は霧島に頭を下げた。
伊集院「失礼します。」
伊集院は走って霧島の部屋から出て行った。
病院内では、木原はバチスタチームがオペをやることを言い広めて大騒ぎになっていた。
教授会では、鬼頭の案が奨励されていた。そこへ、朝田達がバチスタの緊急オペをやる事が伝えられた。教授達が唖然としているなか、鬼頭は笑っていた。
そして、バチスタチームが集まり、手を重ねあった。
霧島の部屋には木原が霧島にバチスタチームが緊急オペを行う事を告げると霧島はまだ策はあると答えた。
そして、荒瀬がタカシに麻酔をした。朝田と伊集院、加藤がやってきた。手術が始まった。タカシは完全内臓逆位の為、通常の手術と全く逆の配置となった。
その頃、野口の部屋に霧島が呼び出されていた。
野口「どういうことなの?霧島君。オペ室に踏み込むわけにはいかないよ。」
霧島「その必要はありません。オペはすぐに中止になります。」
野口が驚いて霧島の方をみる。
霧島「彼らは容態が悪く、十分な術前検査ができていません。ところが、あの赤ん坊には、まだ、極めて重篤な病気が隠されています。」
霧島は資料を取り出し。
霧島「彼らは、まだ知りません。絶対にオペが不可能な重大な病気。」
と言い、野口に資料を見せる。
野口はそれを見て驚く。
その頃、手術中だった、バチスタチームは、タカシが冠動脈瘤である事に気付く。このまま手術を行って、心臓を刺激し続ければ、冠動脈に出来た瘤の血栓が剥がれ、心筋梗塞を起こす可能性があるという。このままでは、タカシが死んでしまう事に一同動揺し、加藤はバチスタを中止するという。
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